窓ガラスは普段、私たちの生活を守ってくれる存在ですが、
ある日突然「パキッ」と音を立てて割れてしまうことがあります。
この現象は 「熱割れ(熱破損)」 と呼ばれ、特に住宅や店舗の大きな窓ガラスで
起こりやすいトラブルです。
では、なぜ熱割れは発生するのでしょうか?
熱割れが起こる原因
1. 温度差による応力
ガラスは熱を受けると膨張し、冷えると縮みます。
例えば、窓の一部に強い日差しが当たり、周囲は影になっていると、
ガラスの中で温度差が生じます。
この温度差によってガラス内部に「引っ張る力」と「押す力」が発生し、
それが限界を超えるとひび割れにつながります。
2. 部分的な加熱・冷却
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カーテンや家具で部分的に日陰ができる
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外壁や庇の影で一部だけ日差しが集中する
こうした条件下ではガラスの一部が急激に熱せられ、他の部分との温度差が拡大します。
3. ガラスの種類や加工状態
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普通のフロートガラスは50〜70℃程度の温度差で割れることがあります。
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強化ガラスは200℃程度まで耐えられるため、熱割れに強いです。
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小さなキズや加工時の欠けがあると、そこから応力が集中しやすくなります。
【図はAGC社のHPより抜粋】
熱割れを防ぐための対策
では、どのようにすればガラスの熱割れを防げるのでしょうか?
いくつか代表的な対策をご紹介します。
1. 強化ガラスやLow-Eガラスを選ぶ
ガラスを新しく設置・交換する際は、熱に強い「強化ガラス」や、
断熱性能の高い「Low-E複層ガラス」を選ぶことで熱割れのリスクを大幅に減らせます。
2. 部分的な遮光を避ける
カーテンやブラインドを閉めるときは、窓全体を均一に覆うのが理想です。
部分的に影を作ると、その部分だけ温度差が生じ、割れやすくなります。
3. 家具や観葉植物の配置に注意
大きな家具や植物を窓際に置くと、日差しの当たり方が不均一になります。
ガラス全体に光が当たるように工夫しましょう。
4. 窓ガラスフィルムの選定
遮熱やUVカットのためにフィルムを貼る場合は、熱割れ対応の製品を選ぶことが大切です。
フィルムの種類によっては日射を強く吸収し、逆に熱割れを起こしやすくなることもあります。
まとめ
ガラスの熱割れは「温度差による応力」が原因で発生します。
日射条件や影のかかり方、ガラスの種類や状態によってリスクが変わるため、
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強化ガラスの採用
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均一な遮光
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家具・植物の配置工夫
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熱割れ対応フィルムの使用
といった対策を行うことが大切です。
ガラスは毎日目にしているものですが、意外と繊細な素材でもあります。
もしご自宅や店舗で「大きな窓が日差しを強く受ける環境」にある場合は、
一度ガラスの種類や対策を見直してみてはいかがでしょうか。